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中四国労務管理センター
特定社会保険労務士
中村 雅江

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社会保険労務士個人情報保護事務所
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文書作成日:2024/02/27

広範な変更が予定される雇用保険法の改正動向

 1月26日に開会された通常国会には、雇用保険法の改正に関する法案(改正法案)が提出されました。改正は広範にわたりますが、その中で実務に大きな影響が出ることが想定される点について、以下で確認します。

[1]被保険者範囲の拡大
 現在の法令では、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上引き続き雇用されることが見込まれる人が、雇用保険の被保険者とされています。
 この被保険者の範囲について、2028年10月1日以降は、1週間の所定労働時間が10時間以上の人も対象となる予定です。

[2]出生後休業支援給付金の創設
 現在、一定の要件を満たした従業員(雇用保険の被保険者)が育児休業を取得する場合、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給されます。
 これらの給付率は、休業開始時賃金日額の67%または50%とされていますが、2025年4月1日以降、従業員とその配偶者がともに14日以上の育児休業を取得するときには、28日間を限度に、出生後休業支援給付金として、休業開始時賃金日額の13%が支給されることになる予定です。

[3]育児時短就業給付金の創設
 育児・介護休業法には、3歳未満の子どもを養育する従業員が希望したときには、1日所定労働時間を6時間に短縮する育児短時間勤務制度があります。
 育児短時間勤務制度を利用する場合、ノーワークノーペイの原則により、短縮した時間分の給与を支払わない企業が多いことから、2025年4月1日以降は、2歳未満の子どもを養育するために育児短時間勤務をし、給与が少なくなったときには、給付率10%を上限として、育児時短就業給付金が支給される予定です。

[4]高年齢雇用継続給付の変更
 高年齢雇用継続給付の変更の改正はすでに決定しており、今回の改正法案の内容ではありませんが、今後の動きとしてとり上げます。
 高年齢雇用継続給付は、原則として60歳以上の従業員の給与が、60歳時点よりも一定割合を超えて低下したときに支給されるものです。現在の給付率の上限は15%となっていますが、2025年4月1日以降は、給付率の上限が10%に引き下げられることが決まっています。

 このほかにも、教育訓練給付や就業促進手当も改正法案に盛り込まれています。自己啓発や学び直しを考えている従業員が活用できるような内容が含まれているため、改正法が成立したときには、全体の内容をしっかり押さえておく必要がありそうです。

■参考リンク
厚生労働省「第202回労働政策審議会職業安定分科会資料

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。